『牧師といのちの崖』

1月20日の日曜日の夜、映画を見に行ってきました。
場所は、ポレポレ東中野。
映画好きの方にはお馴染みと思いますが、ドキュメンタリー作品や新人監督作品などを多く上映しているミニシアターです。

21時からという遅い時間の上映だったのですが、客席はほぼ満席。
観賞してきましたのは、『牧師といのちの崖』というドキュメンタリー作品です。

出演は、以前、FEBCにもご出演頂いたことのある藤藪庸一先生(日本バプテスト教会連合白浜バプテスト基督教会牧師、NPO白浜レスキューネットワーク理事長)。
その藤藪先生に密着し、活動を追った作品でした。

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「この映画で描かれていたものは何だろうか」と、帰りの電車で考えていました。
もちろん、そこには藤藪先生が携わっている自殺防止活動の姿がありました。
ただそれ以上に私が感じたのは、
「藤藪庸一」という一人のキリスト者のリアルな姿でした。

「死にたい」という思いを抱えた方を、何とか受け止め、
共に生き直そうと、必死になって駆け回るその姿。
しかし、それでも受け止めきれずにポロポロと溢れていってしまう、人間ゆえの脆さ。
懸命に「ひとり」と関わるからこそ、そこにある無念や痛みは激しいと思います。

映画の最後の最後に出てくる先生の表情に、
「この活動に献身するというのは、こういうことなんだな」と思いました。
答えのない問いの前に立ち尽くしている一人の人、
「死にたい」そして「生きたい」という思いを抱えた人と共にもがく、一人のキリスト者。

こう書くと、何か悲壮な姿が浮かびそうですが、
でも、藤藪先生ご自身の姿に、そういう悲壮感は感じなかったんです。
ある意味で、使命感すらも突き抜けたあっけらかんとした姿は、
「あんちゃん」と呼びたいくらいの感じです。

この二つが一つになって、スクリーンの前でさらけ出されている。
だから、「リアルだな」って。
「キリスト者として生きるって、こういうことなんだな」って。

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上映後、藤藪先生とこの作品の監督の加瀬澤 充様(ドキュメンタリージャパン)とのトークショーがありました。

(左:藤籔庸一先生、右:加瀬澤 充様)

加瀬澤様はキリスト者ではないそうですが、この映画を作り終わっての思いとして、こんなことを仰っておられました。

「こんなこと初めて言いますが…もし自分の隣にそういう風に困っている人がいたら、絶対助けたいと思うようになりましたね。」

その言葉をお聞きになった藤藪先生が、本当に嬉しそうにしていらっしゃったのが印象的でした。

そして藤藪先生は、キリスト者であっても自死を選んでしまう方がおられる現実を受け止めながら、こんな風に率直に語ってくださいました。

「いろんな意見があると思いますが…僕は絶対に、神様はそのことの責任を負っていてくださるはずだと信じています。もちろんショックも受けるし、悲しい…。でも、信仰を持っていても死にたくなる気持ちは誰にでもあると思うし、実は僕自身も死にたいと思ったことがある一人です。」

「自分の働きの結果を見るのは、天国に行った時。それまでは、抱えていくことになるんだろうと思います。」
とも仰っておられた藤藪先生。
その胸の内には、言葉にならない思いが折り重なっておられるのだと思います。
その「思い」に触れることが出来る映画です。

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ポレポレ東中野では3月1日まで上映予定(他映画館での上映は検討中とのこと)。
お近くの方、是非お早めに足をお運びください。

【劇場情報】
『牧師といのちの崖』
現在公開中〜3月1日まで

2/1(金・映画サービスデー) 12:30/21:00
2/2(土)~2/8(金) 休映
2/9(土)~2/15(金) 10:30
2/16(土)~3/1(金・映画サービスデー) 10:30/21:00
(本編100分)

お問い合わせ先:
ポレポレ東中野(東京都中野区東中野4-4-1 ポレポレ坐ビル地下)
tel:03-3362-0081