
「天使と格闘するヤコブ」
その夜、ヤコブは起きて、二人の妻と二人の側女、それに十一人の子供を連れてヤボクの渡しを渡った。皆を導いて川を渡らせ、持ち物も渡してしまうと、ヤコブは独り後に残った。そのとき、何者かが夜明けまでヤコブと格闘した。…「お前の名は何というのか」とその人が尋ね、「ヤコブです」と答えると、その人は言った。「お前の名はもうヤコブではなく、これからはイスラエルと呼ばれる。お前は神と人と闘って勝ったからだ。」(創世紀32章)
今回の「Session―アートの中の彼の声」で取り上げた絵は、
この不思議な闘いを描く、ギュスターヴ・ドレの「天使と格闘するヤコブ」でした。
塩谷)こうやって神様が体を張って取っ組みあってくださるんだな…と思うんですよね。奪い取るとか、押しのける者とかいう意味の「ヤコブ」という名前を持つ者と。
長倉)確かにお前はヤコブだ。人を押しのけるしかない、そうとしか言いようのない存在だと神様は受け止めて、なおヤコブをイスラエルにしていると私は感じるんですよね。
早矢仕)そして、イスラ(戦う)エル(神)と名前に神っていう言葉が入っている名前を今度は自分が名乗る。きっとヤコブは、そこで自分自身を「再発見」したんやろねえ。
天使と、神様と戦う…。
だいそれた事だと思いますし、そんな事して良いのかとも思います。
でも、むしろここで描かれていることは、
襲いかかってくるまでに烈しく私達に関わろうとしてくださる神様のお姿。
そして、そういった所でこそ、人は自分自身の真の姿をも再発見する…
とはいえ実際、わたくしごととしては、思い浮かべにくい場面かもしれません。
だからこそ教会の伝統も、絵と音楽での表現を大切にしてきました。
どうか、この時間ご一緒に、こころにじっくり、
そして自由に聖書の言葉を味わうときが与えられましたらと願います!