ここに平和がある!
今回の「全地よ 主をほめたたえよ」では、
日本基督教団小岩教会の礼拝より、川島隆一先生の説教をお届けしています。
20世紀は人類史上最も悲惨な戦争の世紀でした。第二次世界大戦の最中、核兵器の開発に鎬を削ったある科学者は、実験が成功した時「これで我々は呪われた畜生になった」と吐き捨てたのです。神学者ブルトマンは「世の平和は、死の平和であるに過ぎない」と語りました。しかし、主イエスは言われます。
「わたしは、平和をあなたがたに残し、わたしの平和を与える。わたしはこれを、世が与えるように与えるのではない。」(ヨハネ14:27)
平和をずっと求め続けてきたはずの私達。
しかし、現在に至っても、新たな戦争の勃発、世界の混迷が止まらない状況を見ると、
世のもたらすものが、いかに歪んだものであるかという事を痛感させられます。
それならば、主イエスが与えてくださる平和とはなにか。
それが今回のお話の中核です。
ヨハネは、主の復活顕現物語で次のように描きます。
「その日、すなわち週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人を恐れて、自分たちのいる家の戸に鍵をかけていた。そこへ、イエスが来て真ん中に立ち、『あなたがたに平和があるように』と言われた。」(20:19)
復活の体にはシミもシワも一切ないはずです。ところが、よみがえられた主イエスの御体には十字架の御傷がありありと残っていた。その身体でこそ「あなたがたに平和があるように」と主イエスは言われたのです。まさに主イエスが与える平和とは十字架に根ざすのです。
私達のように力づくで敵を押さえつけるのではなく。
むしろ、傷を受け続けたお方が、敵そのものである私達のただなかにやって来てくださった。
そして…
このメッセージを聞く時、私達はどのようにして、
この特別な平和に歩みだすでしょうか。
特に戦争の痛みをおぼえる時であるこの8月。
こころを鎮めて、この平和の主イエスの声に聞きたいと願います。